天慈国際薬業

「みんなで一緒に医薬品を造りましょう」モデルが上海医薬品産業にとって苦境脱出の秘策となる?

时间:2019.06.06 ばたばたし

最新号の全国薬品登録受理統計年表を開くと、一喜一憂をさせてくれる2組のデータを目にすることができる。喜ぶべきことに、上海の新薬研究開発量は全国でトップの座を占め、とくに張江地域の優位性が目立ち、食品薬品監督総局によって承認された1類新薬研究開発のうち、1/3は張江地域から申請されたものである。憂慮すべきことに、上海の新薬製造承認番号は数年間続けてゼロとなり、医薬品産業の全国ランキングのトップ10から外れ、国内医薬品生産額トップの省との差は約6倍となっている。「壁の内側で花が咲きながら、香りは壁の外側でしか楽しめない」という実態は、上海医薬品産業の成果の商業化実現率が低いことを如実に表している。科学者の方々が、上海で安心に研究開発を行うだけでなく、産業化の成果も手中にすることができる、即ち成果の商業化における「最後の1キロ」の道を貫通させるためには、どのようにすれば良いでしょうか。


上海以外で活路を見出すしかない


上海の医薬品産業は、過去に輝かしい実績を打ち立てる時代はあった。20世紀90年代以前、上海の医薬品製造は、全国ランキングでいつも上位を占めていた。


しかし、21世紀に入ると、上海の薬事工業ランキングは年々下降の一途をたどり、現在では14位までランキングが下がっている。全国工業トップ100社における医薬品企業のうち、上海は僅か5社に留まり、これに対して近隣の江蘇省は12社、山東省は14社、浙江省は12社がランキングされ、その数は上海市を遥かに超えている。


上海の医薬品産業は、なぜ急激な没落を迎えたのでしょうか。技術成果の流失が著しい、成果の商業化実現が難しい、これが最大の「要因」となっている。統計によれば、近年、張江園区だけでも、生物医薬科学研究開発プロジェクトの開発数は5117件に上り、完成数は2824件に達している。しかし、2013年における上海の新薬製造承認番号はゼロであり、わずかに5件の後発医薬品製造承認番号が認められ、全国総数の1.6%のみを占めている。国内の経済発達地域ではほぼ最下位に甘んじ、「花のみ咲き、身は実らない」という気まずい立場にいる上海の生物医薬産業の実態が映し出されている。


事実として、医薬品成果の商業化が難しいというのは、1つの普遍的な課題である。科学者または起業家が一種の新薬技術を開発した後、どのようにして製造、販売していくのかという苦境に直面するのが一般的である。中国国内で新薬製造を実現するためには、研究開発機関から製造企業へ事業転換し、土地そして医薬製造基準を満たすGMP工場を抱えることが必要不可欠となる。大多数の科学者は、医薬品成果の商業化に関わる後続の課題に頭を抱え、資金、資源、経験、役割など客観的な課題の数々は無形の障壁となり、イノベーションの成功を妨げている。


上海において、張江において、こうした問題はさらに深刻である。上海の土地代は高額のみならず、土地資源自体が極めて少なく、上海で医薬製造基地を建設する場合、そのコストは目を覆うほどの高額金になることを意味している。計算によれば、GMP工場を1つ建てるのに、通常は数億元の資金投入が必要とされ、200ムー(約133333平米)の産業用地ではせいぜい数棟の薬品工場しか建てられず、土地利用率は比較的に低い。浦東新区科学技術委員会の唐石青主任の言葉を借りれば、「各社が個別に工場を建てるという伝統的な産業化モデルは、上海では絶対に通用しません。張江地域ひいては上海全体に関して、医薬品成果の商業化効率を大幅に引き上げるためには、自分のスタイルに適する医薬品産業の成長ロードを歩まなくてはならない。」


上海に残留する場合の希望の光


片方では土地代の束縛から脱却できず、もう片方では成果の商業化を進める急迫性に直面している。上海の新薬研究開発に関わる関係者にとって、上海から出るか又は残るのか、これが現実問題として対応していかなければならない。


良い知らせとして、民営資本と上海国有資本が連携し、共同出資で創設した上海天慈国際薬業有限公司は、張江地域で「A+W」という最新の医薬製造モデルを試み始め、「上海に残る」という選択肢に、さらなる可能性をもたらしている。


投資総額が24億元に上る天慈国際生物医薬成果転化(商業化)基地は、敷地総面積は211ムー(約140666平米)、建物総面積は約27万平米、20棟の工場および80本のGMP製造ラインを建設する予定となっている。現在、基地は建設中であるが、提唱理念は既に多くの注目を集めている。いわゆる「A+W」に関して、「A」とは天慈国際が基地内の工場8棟及び製造ライン20本を利用し、ここで自社が抱える42件の高級後発医薬品および4件の1類新薬に関する商業化生産を行う。「W」とは「WePharma」の略語で、「みんなで一緒に医薬品を造りましょう」という意味が込められている。即ち、天慈は基地内の工場12棟及び製造ライン60本を提供し、新薬研究開発に携わる科学研究者および起業家に入居を招請し、上海というマイホームで成果の商業化における「最後の1キロ」を完走させる手助けを提供する予定である。


上海天慈国際薬業有限公司の李函璞会長によれば、「A+Wは柔軟性、開放性、供給性を共有するプラットフォームである。成果転化基地の最大の特徴は、科学者が入居後、研究開発のみに専念すれば良い、基地がその他の役割を一手に引き受けてくれる。例えば、基地は公共システムサービスを提供し、事務的な処理作業、総合的な倉庫保管、生活サポートなど、あらゆる課題はワンストップで解決できる。また、基地は融資プラットフォームの役割も担い、研究開発チームへ個性的な金融サービスを提供することも可能である。4000人規模のプロ集団である医薬販売チームを抱える基地は、企業のために薬品登録サービスを提供し、入居者が製造承認番号を取得できるよう支援すると共に、真の意味において製造と販売を一手に引き受け、研究開発、製造から販売まで、生物医薬産業サプライチェーンの資源を首尾一貫に整合し、イノベーションを試みる起業家へプロ級の同業種サービス・プラットフォームを提供していくことになる。」


「企業経営者、金融事業者、販売事業者など、科学研究開発に携わる関係者が得意としないこれらの役は、基地が演じてくれる。天慈と科学者は、長期的な利益共有システムを構築し、プロジェクトが天慈国際専門家委員会による論証で認められれば、仮に入居者が最高で80%の製造利益を受け取ると要求しても、天慈は喜んで成果の共有に賛同する。もしも医薬品の年間利益+税金の総額が1億元を超える場合、天慈は当該医薬品成果の商業化を無料で支援することになる」。李函璞会長によれば、「こうした「資金提供」、「工場供与」、「製造承認番号取得支援」、「販売支援」という新薬成果の商業化における最新モデルは、伝統的な産業モデルの限界を突き破り、新たな試みとなっている。」


将来に期待が持たれる


「みんなで一緒に医薬品を造りましょう」というモデルは、上海医薬品産業にとって苦境脱出の秘策となるでしょうか。現時点で見れば、政府も市場も自信を漲らせている。


上海市経済和信息化委員会の馬静副主任によれば、「天慈基地が「一括工事」、「分割経営」、「資源統合」、「利益共有」の最新モデルを採用し、上海土地資源の産業化能力を最大限に活用して、長期的な利益を保証する前提のもとで、できるだけ多くの技術成果保持者に上海で新薬製造を行えるよう可能性を提供している。こうしたモデルは、生物医薬産業が真の意味で上海の支柱産業として成長することを手助けできる可能性がある。」


さらに発言権を有するのは、言うまでもなく科学者の方々である。定年退職前に上海医薬集団で長期にわたって漢方薬研究を続けた謝徳隆教授は、今では天慈基地の受益者の1人となっている。謝教授は、2013年に個人の発明により米国薬品発明特許を取得している。この発明特許を利用すれば、ヒカゲノカズラから漢方薬の複合物を採集でき、当該複合物は、記憶力を高め、アルツハイマー病、いわゆる「老人痴呆症」の治療に用いられる医薬品である。初期試験の結果によれば、当該複合物は脳蛋白の沈殿を有効的に抑制し、脳神経の疎通を促進できる効果がある。しかしながら、手に「宝」を持つ謝教授は、発明特許を棚に置くしか方策が無かった。「研究開発から製造まで、特定の資金、特定のチーム、特定の土地、特定の製造ラインが必要不可欠で、いずれも定年退職の教授である私個人が負担できるものではなかった。もちろん、海外の医薬品会社から特許の購入も提案されたこともあったが、私はそれを断った。自分達が発明した良いものは、やはり本国に残しておきたいからなあ。」


謝教授が打開策を見出させない時、天慈の出現が再び希望をもたらしてくれた。「私は、天慈と契約を結び、彼らが科学研究の諸条件、製造環境を提供し、製造承認番号の取得を支援し、後続の商品販売も彼らに任せる。私と天慈は、商品の市場化利益を共有する。商品が市場に投入されれば、私と天慈は、所得利益を半分ずつ分け合うことになる。」基地の支援を受けて、謝教授は既に6-7人からなる科学研究チームを立ち上げている。将来への見通しについて、謝教授は非常にワクワクしている。


謝教授のように、チャレンジ精神旺盛な科学者は、ほかにも沢山存在している。現在、天慈基地は、10数チームに及ぶ新薬研究開発団体と入居契約を締結し、女性更年期症候群、麻薬治療、抗腫瘍、抗乙型肝炎、糖尿病など複数の生物医薬分野を網羅し、研究開発による数々の特許の誕生が期待されている。


開放的なプラットフォームとして、天慈基地は世界からも注目を集めている。米国には、生物医薬分野のトップ級中国系科学者が参画し、4000人を超えるメンバーを抱える民間組織—米中医薬開発協会(SAPA)があり、天慈国際は既にSAPAと戦略提携契約を締結し、SAPAの成果の商業化実現に向けて、天慈国際は中国における提携基地の役割を果たすことになる。また、天慈国際はイスラエルの高名なカイサリア・ライフサイエンス・パークと医薬技術成果の商業化提携契約を締結している。人材募集、技術/研究開発/製造/資本/情報データの統合によって、天慈国際は世界的に影響力を有する産業サプライチェーンの統合プラットフォームを構築し、世界からより多くの科学者が上海に来て、「みんなで一緒に医薬品を造りましょう」という構図を実現できるよう着々と準備を進めている。